Netflix「全裸監督2」生け花装飾

2021.7.21 16:27

Netflix で絶賛オンエア中の「全裸監督シーズン2」で生け花を担当させて頂きました。
かなりの話題作です。全世界190国配信と聞いて、お仕事のお話しを頂いたとき、ものすごく興奮しました!
まず、この花は、4話で出てきます。高級旅館に飾られている花。バブル期が舞台なので、もう1部屋つぶして、巨大な花を飾っているという設定です。ひきの写真で私が座ってますが、まさにこの席に宮沢りえ さんが座られます。
花によってさらに宮沢りえさんを神々しく光り輝かせる、というのが今回のお題。りえさんの衣装合わせにも同席させて頂いて、衣装の色が決まってから、花の色を決めました。美術監督さんと打ち合わせの上、基本の色は、「白と緑、少しの赤」となりました。
晒しシュロの葉、ドウダンツツジ、グロリオーサをいけています。
言わずもがなだと思いますが、家族みんなでワイワク見るような作品ではないので、そこだけご注意くださいね。シーズン1も見ましたが、さらにヒートアップしています! 私としては、もう國村 隼さんが怖くて怖くて、震えました。
こちらは横顔の写真
4話で出てくる石橋蓮司さんの後ろの花です。撮影小話>石橋蓮司さんの後ろの花なので、石橋さんのキャラクターを反映した生け花となっています。政財界のドン、という役柄なので、「重厚感」「渋み」「頑固そう」というようなイメージを花で表現しています。でも、本当は穏やかそうで素敵な方でした。苔梅という苔がついた枝をメインでいけています。
こちらは、高級料亭の玄関。井原剛志さん演じるフィクサーがそれはそれは怒って入ってくる場面。 実は、元々ここにはいける予定は全くなくて、部屋の大きな生け花のいけこみを終えて、「やれやれ」と思っていたら、美術監督の都築さんが、「なんか、ここ、欲しいな。なんか作れるかな。大きいほうがいい!」と何やらひらめいた感じのキラキラした顔で話しかけてきて、「おー、やりましょう!」と即興でいけることになった花。 「やる!」とは言っても、「残りの流木2本しかないから自立しないなあ。どうする?」と悩んでいたら、都築さんが美術班の何やら行燈置きみたいなものをさささーっとどこからか持ってきて、「これ、どう?つかえるでしょ!」とうれしそうに言う。「照明の重しをかませて、これは使える!」と私も興奮してくる。良くわからない行燈置きみたいなのと流木で、骨組みを大きくいけながら、「多分、こういうのが好きなんだなあ」、と思いました。つまり「祭り」です。
映画でいけてもそんなに作品がドーンと大きく画面に映ることはないんです。あくまで、美術の一部ですから。でも、お話を頂くと、ワクワクとしていけてしまうのはなぜだろう?と思ったときに、ここにいる映画人たちの子供みたいな「熱」が好きなんだなあ、と気付きました。本当は存在しない空間を、あたかもそこに存在するかのように完璧に作り上げる映画美術の世界は、とにかく「熱い」んです。映るとか映らないとかじゃなくて、役者が入って来るまでに完璧に虚構の世界を作り上げる情熱! その「熱」が圧倒的で、「ねえ、ここ、いけて欲しいんだよね」とキラキラした顔で言われると、「よっしゃー!」ってなるんだと思います。なんかちょっと魔法がかかってますね、あの世界は! だから、その大掛かりな遊びの仲間に入れてもらえるのがうれしくて、頼まれれば、どんどんいけます!多分、私も魔法にかかっているんだと思います。
ちなみに、この玄関を入ってくるシーンはカットされました。でも、私的には、やりきった感があって、大満足なのですよ。不思議でクセになる世界かもしれません。
5分でいけた花。撮影が進む中、美術監督さんが駆けてきて、「ここに、何でもいいからいけて! ここ、映りそうだから!すぐ撮影だから、急いで!!!」とリクエストを頂いていけた花がこちら。あまり花材が入ったバケツをかかえて、走りました!(笑) こういうことがあるから、いつも少し多めに花材を持っていきます。 本当に何があるか分からないのが撮影。そして、このシーンは結局カットとなったのでした。
旅館の玄関前にある手水舎?風の小さな池。こちらも「急遽、なんだか映りそう!」と、いつものように美術監督さんに言われて、「何かできない?」ということで、またもや慌てて少し飾ってみました。余った流木を組んで、高級感を出してみました。水面に、バンダ(紫の蘭)の花を浮かせています。蚊取り線香が映り込んでしまっていますが、本当に、夕方は蚊がすごいのです。最近は、外でお仕事をする場合は、必ず虫除けをカバンに忍ばせています。
石橋蓮司さんのキャラクターを反映した花その2です。
同じ場所で、設定が別日の撮影を次々行うので、ひとつ撮影が終わったら、すぐにまた花をその場で変えます。持ち時間10分ぐらい。なかなかのスリルです。
撮影裏話。直近で見ていて、一番感動したのは、山田孝之さんの演技。階段を登っていくシーンがあるのですが、まず、これが何度も何度もテイクされます。その時に、登るときは完全に役の村西とおるなんです。で、カットがかかって、階段を降りてくるときに、山田さん自身の顔に! 上っているときと下りているとき、全くの別人格。同じ人には見えない不思議です。瞬間に「憑依」するというか、素人の私には、多重人格の人?ぐらいの衝撃でした。そういった神業を間近で見られて、感動しました。
さて、制作風景を動画にして、インスタグラムにアップしています。

ブログに貼り付けるには限界がありますが、たくさんの写真でフェイスブックにアルバムを作っています。

もしお時間があれば、ぜひご覧ください。

https://www.facebook.com/media/set/?vanity=mika.otani.180&set=a.4075932482455488

なかなかブログを更新できずにいますが、インスタグラムは頑張って、更新していますので、最新の活動は、ぜひそちらでご覧頂けるとうれしいです。 https://www.instagram.com/mikaotani_flowers/
最後までお読み頂いてありがとうございました。
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