ドラマ「高嶺の花」こぼれ話

2018.10.11 13:25

ドラマ「高嶺の花」では、3ヶ月半、撮影現場にこもって174作品もいけたので、前回に引き続き、もう少し、思い入れの強い作品について、お話できればと思います。

私は、草月流に属していますが、草月と言えば、「竹」を使った作品が得意です。3代目勅使河原宏先生が、竹という素材の様々な使い方を編み出して以来、竹に目がないのが草月人です。私も、今回のドラマで、ふんだんに竹を使用しています。

龍一と市松の密談のシーン。ホテルラウンジという設定です。

こちらは番組公式インスタより、龍一さんと私の花。このシーン、脚本では、場所は「とある埠頭」でした。そこを監督が、「埠頭」では面白くない、ホラルラウンジにして、生け花を飾ろう!と提案されたわけです。こういうどこに何を飾るのか、というのは、1話ごとに「美術打ち合わせ」通称「美うち」という会議が行われます。役者さん以外の全スタッフ参加の大きな会議です。もうすでにこの時は、ヘロヘロだったので、「生け花を」と言われたときには、心の中で「ヒーっ」という感じでした。でも、我ながら、また睡眠時間を削って頑張ったと思います。

市松の影響力に龍一がとまどうシーンなので、市松の背後から忍び寄る怖さを表現しようと、竹が龍一に襲いかかるようにと制作しています。

こちらは、月島家のお風呂場。市松が神様っぽく見えるようにしてほしいとのリクエストで、漂白したシュロを使い、ちょっと神がかった感じにしました。

こちらコヒさんとの記念写真。結構大きいのがわかるでしょうか? 小日向さんは、とてもお花が好きでいつも褒めてくれます。ムードメーカーで撮影を盛り上げてくれます。市松の役は笑わない役でしたが、カメラが回っていないところでは、いつも笑顔のコヒさんでした。ここは竹、使ってませんね。もう一度お風呂場のシーンがあり、竹を使用したのがこれです。

下から撮影するというので、下からの目線を意識して作っています。が、なんとシーンカットでお蔵入りとなりました。まあ、そういうこともあるんですね。無念ですが。でも、役者さんも全スタッフも5時間ぐらいの作業が一気にお蔵入りとなったので、私だけが悔しいわけではないので、仕方ないです。ドラマは尺が決まっているので。

龍一のショーもリニューアルしました。場所をクラブに移し、竹ももっと軽やかな感じに。竹を割いたものを「割り竹」と呼ぶのですが、この割竹、自由自在に美しい曲線を表現できるのです。

もものマンションの飾りにも、割竹を使っています。もものマンションだけに、少しおしゃれな感じで仕上げました。

別の日の装飾。竹の部分に入れる花材を替えると、また違った装いに。

こちらは南国調です。ヤシの葉とからすうりを合わせています。

もものマンションと言えば、一番思い入れがあるのが、ぷーさんがやって来て、2人が1夜を共にするシーン。監督から、「竜宮城にしてほしい」と言われ、その思いを叶えるべく、竜宮城になるように頑張っています。

いつもの壁飾りも竜宮城仕様になっています。手前のサンゴっぽく見えるのは、枝を組み合わせて、白く着色したものです。

姫が舞い降りると、一気に竜宮城感がアップします。乙姫の美しさです。

では、今日は、このへんで。また次回語らせてください。

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